家の中に潜む恐怖
友人が子連れで実家に帰っているのに合わせて、訪問してみました。
まー、子どもの元気なこと元気なこと。部屋ン中で大暴れでした。ママとじんづちゃんはそんなに若くないんだから勘弁しておくれ。
しかしそんな元気な幼児でも、ひとりでトイレに行くのは怖いそうです。リビングとトイレのドアを全開にしたまま用足ししとりました。
「そりゃ、じーちゃんの古い家だと怖いかもね」とワタシが言うと、ママいわく自宅のマンションでもトイレが怖いそうな。えー? 新しくてモダンなマンションなのに??
そういえば、昔は家ン中に「あまり行きたくない空間」「あまり開けたくない扉」「あまり見たくない場所」てのがいろいろあったような気がします。
例えば、開くと埃まみれの冷蔵庫の裏が見えてしまう襖。何が入っているかわからないプラスチックケースが詰まった押入れ。お風呂場のすのこの隙間の土間。
これが祖父母の古い家となるともう、幽霊屋敷も同然です。トイレは(というか、便所は)汲み取り式だわ、変な渡り廊下を通らないと行けない部屋があるわ(増設したから)、屋根の上のベランダはギシギシ鳴る梯子を使わなきゃいけないわ、庭の水溜りみたいな池にはなんか生き物(魚とか蛙とか)が生息してるわ、病人が寝込んでいる部屋はあるわ(じーさんとかね)、昭和初期からモノの移動がないんじゃないかという物置はあるわ、扉が開いているのを見たことがなくて部屋なのか納戸なのかすらわからない開かずの間があるわ……。
かなりの平米数があっても、ワタシがうろつける範囲なんて限られたものでした。今思うと、敷地いっぱい使ってかくれんぼしたら相当楽しいだろうに。当時はそんなことは怖くてできず、オトナ達も許可を出さず、せいぜい茶の間と隣の部屋で遊ぶ程度です。
残念ながら今のワタシにはそんな空間はなく。
実家も自分のマンションも、近寄りがたい場所なんてどこにもありません。子どもや動物にしか見えないモノは、もう見えなくなってしまったお年頃のようで。
自分ちのトイレすら怖がる幼児を見て、自分は謎めいた家とご縁がなくなってしまったのが残念でもありました。



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